プラスチックの全溶着工法の特徴

超音波溶着のおはなし

一言に「溶着」と言っても、様々な工法が存在します。それぞれの工法の特徴(メリット/デメリット)を簡単にまとめました。文章にできないところもありますので、お問い合わせいただければお答え致します。

当然のことですが、溶着機メーカーは自社の得意な溶着機を販売しようとしています。よって、違う工法の方が適しているのにもかかわらず、そちらに話を持って行きたがりません。また、メーカーは販売のチャンスが少ないとみると親身になって話を聞いてくれません。これは致し方ない事ではありますが、お客様にとっては非常に頭が痛い事になってしまいます。当社は、溶着工法の選択をお客様目線で行い、メリット/デメリットを包み隠さず全てお教え致します。まずはお問い合わせ頂き、ご一緒に問題を解決していきましょう!


超音波

原理:縦方向の微振動(50μm程度)による摩擦熱
簡単に言うと:ただの摩擦熱
溶着事例:ゲーム機ソフト、クリアファイル、SDカード、点眼キャップ
マシンサイクル:10秒
溶着品質・外観:良
強度および密閉性:可
成形品の制約:大きさ、形状
設備コスト:400万円
試作費用:30万円
バリの状況:小-脱落する
その他:音がうるさい
実際のところ:結局この辺りの工法に落ち着く
おすすめメーカー:精電舎電子工業㈱、日本エマソン㈱、本多電子㈱

高周波

原理:樹脂内部の分子運動による内部発熱。
簡単に言うと:電子レンジ不可の樹脂が良く発熱
溶着事例:点滴等のバッグ、浮き輪、テント
マシンサイクル:15秒
溶着品質・外観:良
強度および密閉性:良
成形品の制約:材質、シート状
設備コスト:400万円
試作費用:20万円
バリの状況:小-脱落しない
その他:漏えい電波が出る、金型=電極なので、自由に製作できる
実際のところ:成型品の溶着はほぼ不可能
おすすめメーカー:山本ビニター㈱、精電舎電子工業㈱

電磁誘導

原理:溶着界面に針金を入れて発熱
簡単に言うと:IHクッキングヒーター
溶着事例:噴霧器、保温用二重容器、スピーカー
マシンサイクル:30秒
溶着品質・外観:優
強度および密閉性:可
成形品の制約:特になし
設備コスト:600万円
試作費用:20万円
バリの状況:小-脱落しない
その他:冷却水が必要、金型が金属では製作できない
実際のところ:汎用機が無いので試作対応できない
おすすめメーカー:精電舎電子工業㈱

振動

原理:横方向の振動(1.6mm程度)による摩擦熱
簡単に言うと:ただの摩擦熱
溶着事例:トイレの便座、トナーケース、テールランプ
マシンサイクル:30秒
溶着品質・外観:可
強度および密閉性:優
成形品の制約:形状
設備コスト:1,000万円
試作費用:400万円
バリの状況:大-脱落する
その他:音がうるさい、設備が大きい
実際のところ:結局この辺りの工法に落ち着く
おすすめメーカー:日本エマソン㈱、精電舎電子工業㈱

熱板

原理:熱板を挟んで加熱
簡単に言うと:ただのホットプレート
溶着事例:洗濯機バランサー、ウォッシャータンク、テールランプ
マシンサイクル:45秒
溶着品質・外観:可
強度および密閉性:優
成形品の制約:形状
設備コスト:1,000万円
試作費用:要相談
バリの状況:大-脱落しない
その他:電力消費が大きい、熱い、煙の発生、火災の危険性
実際のところ:汎用機が無いので試作対応できない
おすすめメーカー:精電舎電子工業㈱

レーザー

原理:透明な物(透過材)を通り、黒色な物(吸収材)に当たり発熱
簡単に言うと:虫眼鏡で太陽光を集めた感じ
溶着事例:バルーンカテーテル、テールランプ
マシンサイクル:60秒
溶着品質・外観:優
強度および密閉性:可
成形品の制約:色、形状
設備コスト:1,500万円
試作費用:10万円
バリの状況:小-脱落しない
その他:取り扱いがデリケート
実際のところ:中小企業レベルでは持っていない
おすすめメーカー:精電舎電子工業㈱

インパルス

原理:細い線(板金可)に大電流を通して発熱
簡単に言うと:これ以上簡単に言えない
溶着事例:大型不織布フィルター、樹脂ボスのカシメ(リベッティング)
マシンサイクル:15秒
溶着品質・外観:可
強度および密閉性:可
成形品の制約:GF入りは不可
設備コスト:600万円
試作費用:10万円
バリの状況:小-脱落しない
その他:急激な温度変化による線の伸縮が大きい
実際のところ:カシメ以外であまり需要がない
おすすめメーカー:ムネカタ㈱、精電舎電子工業㈱

スピン

原理:回転による摩擦熱
簡単に言うと:ブレーキが付いたボール盤
溶着事例:浄水器カートリッジ、タンクノズル部
マシンサイクル:30秒
溶着品質・外観:可
強度および密閉性:優
成形品の制約:丸形状
設備コスト:1,000万円
試作費用:要相談
バリの状況:大-脱落する
その他:途事例が少ない
実際のところ:汎用機が無いので試作対応できない
おすすめメーカー:精電舎電子工業㈱

熱風

原理:溶着界面に熱風を当てて加熱
簡単に言うと:ただの強力なドライヤー
溶着事例:屋外防水シート、牛乳パック、車のドア等多点カシメ
マシンサイクル:30秒
溶着品質・外観:可
強度および密閉性:良
成形品の制約:シート状
設備コスト:600万円
試作費用:要相談
バリの状況:小-脱落しない
その他:電力消費が大きい、作業環境が熱くなる
実際のところ:カシメ以外であまり需要がない
おすすめメーカー:㈱ライスター


miyake

miyake

20年間プラスチックの溶着の世界に身を置いています。本来外部には秘密にしておきたい内容もここには掲載しています。超音波溶着に関する知識やTipsをできるだけ余すところなく発信しています。ご質問があればお気軽にお問い合わせください。

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