浄水器本体及びカートリッジは、超音波溶着の『塊(かたまり)』です。
今回は、カートリッジを超音波溶着した際の話です。
カートリッジの内部は、各社さまざまです。
「活性炭」であったり、「中空糸膜」であったり、「活性炭+中空糸膜」の二重構造のものまでざまざまです。
「超音波溶着」は内容物を入れた後の筒にフタをする工程において使用されています。
昔はネジ式も多かったようですが、現在ではほとんどが、シール性で信頼度の高い超音波溶着が採用されています。
そして、材質がABSということもあり、比較的容易にできてしまいます。
しかし、高いクオリティの超音波溶着を施すには、おさえるべき難しいポイントがいくつかあります。
- 内部に高い水圧をかけるので、シール性に加え、強度も必要になります。
以前も記事にしましたが、シール性と溶着強度を高く保つ方法は、全くの別物という訳ではありませんが違います。
シール性は溶着部がほんの少しでも途切れる事無く、連続していればばOKです。
溶着強度は、溶着部が不連続の途切れ途切れであっても、溶着面積が大きければOKです。
ですので、この2条件を両立させるためには、カートリッジの設計段階で溶着形状の選択が重要になってきます。
長くなりすぎるので、ちょっとこの話は別の機会にさせて頂きます。 - 多くのカートリッジの底部の形状が、丸みを帯びており安定して自立しない。
カートリッジは、ご家庭でユーザーの目に触れます。
よって、ある程度の意匠性が求められます。
それが100%の理由か分かりませんが、超音波溶着しずらい形状になってしまっています。
安定して自立しなければ、溶着部分を少し外側に張り出してフランジ形状にしてその部分を受治具でしっかり受けて溶着すれば問題ありませんが、これもスペースの問題なのかもしれませんが、あまり採用されていません。 - 溶着強度を高いレベルで保たなければならないが、ユーザーの目に触れる(手に取って使用する)ので、溶着の際の傷及び溶けバリを抑えないといけない。
この3点により、この溶着は少し難しくなっています。これらのリスクを少しでも低減させるためには、設計者と溶着経験者の設計段階での擦り合わせが非常に重要になってきます。