超音波溶着で良く出てくるワード『周波数』について書きます。
周波数とは繰り返し続いてくるモノ(波)の回数で、単位はHz(ヘルツ)です。
超音波の場合は1秒間に何万回というオーダー(桁数)なので、kHz(キロヘルツ)となります。音で言いますと、船の汽笛は遠くまで聞こえる様に低い周波数になっています。
お寺の鐘の音もそうです。逆に高い音は、ちょっとした障害物で聞こえなくなってしまいます。
電波で言いますと、AMラジオはkHz(キロヘルツ)でFMラジオはMHz(メガヘルツ)となっています。
周波数の低いAMラジオは、車で山を越えても遠くまで聞く事が出来ます。
周波数の高いFMラジオは、車で郊外へ移動するとすぐに聞こえなくなってしまいます。
ただし波の数が多く、伝えられる情報量も多くなるので、FMラジオの方が良い音で聞こえるという事になります。
メリットとデメリットがあり、そこを上手く使い分けているという事でしょうか。
超音波溶着の周波数にもメリットとデメリットがあります。
<低い周波数>
メリット・・・樹脂の中を伝わりやすく伝達溶着に適しています。『伝達距離が長い』とも言います。
デメリット・・・振動が関係ないところにまで伝達してしまい、製品の一部が割れてしまうこともあります。発生する音も非常に良く(大きく)聞こえてしまいます。
<高い周波数>
メリット・・・単純に摩擦の回数が多いので、プラスチックが良く溶けます。
デメリット・・・伝達溶着をしたい場合は、工具ホーンの当たる表面(本来溶かしたくない面)も溶けてしまう場合があります。
溶着機メーカー各社は、15kHz/20kHz/30kHz/40kHzくらいの周波数をラインナップしています。
新規設備を導入する場合、お客さんが周波数を選定する事はないでしょう。
しかし既存設備の都合上、お客さんが決めなくてはならない状況もあるでしょうから、少し知っていた方が良いと思います。
アドバイスしてくれる人間がいれば良いですが、間違って選定してしまうと無駄な労力を使ってしまう事になります。
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