HiPS(ハイインパクトスチロール)もしくはABSの溶着でした。
この溶着の難しいところを先に書きます。
- 水よりも粒子が細かいトナーは、少しの未溶着部があっても漏れ出してしまいます。
- 輸出する際、飛行機の貨物内は約0.8気圧となります。よって、その内圧に耐えられる強度も必要になります。
- 超音波溶着としては大きい部類に入ります。そうすると、超音波の特性上で工具ホーンの振幅が大きく出せずにバラつきも大きくなるため、溶着が不均一になってしまいます。
- 成型品が大きく肉厚も薄い為に、受治具でしっかりと溶着部の直下を受けなければなりません。よって、受治具が大がかりで高価なものになってしまいます。
では、1~4をどの様に解決したのかを書きます。
1~3未溶着部は、いくつかの要因により他の部分よりも温度が低いと考えています。
ですのでほとんどの場合は溶着時間を延ばして低温域でダラダラと時間を掛けても、未溶着部は未溶着のままです。
温度を上げるためには、工具ホーン側の製品を効率良く振動させなければなりません。
- ⅰ工具ホーンの振幅は、メーカー出荷時の最大値(100%)に設定します。
- ⅱ工具ホーンの下降速度を超低速にします。
- ⅲ超音波発振のタイミングをワークに工具ホーンが接触する前にします。
上記設定により、工具ホーンがワークに接触した時点で、振幅が最大限有効にワークに印加されます。
そして、ワークが効率よく振動している所に荷重を加えるので、温度が上がるという仕組みです。
4の有効な解決策はありませんが、ノウハウは蓄積しております。
ご用命頂ければ、他社さんより良い治具を作らせて頂きます。